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zoom RSS 君の名は。への徒然考察第3回 未来の決断と約束

<<   作成日時 : 2016/12/27 21:53   >>

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前回は、前々回のオチである、三葉は本来隕石落下の夜、死ぬ運命ではなかった。というところから更に、その母親である二葉もまた、もうしばらくは命を永らえているはずだった。という木の葉落としをかましてしまいましたが、失速したら、そのまま敵機をやり過ごしてなんとか機首をもちあげてください。



さて、母親の二葉が千葉の専門病院に移り、その介護あるいは見舞いの結果、糸守町隕石災害から逃れた三葉が存命な世界です。
帰るべき家も故郷も失った三葉が、母親への介護の必要もあって、住居を千葉に移すことはもはや必然ですね。元より都会への憧れが強かった(というより糸守からの逃避?)三葉だけに、そのまま、千葉あるいは東京の大学に通うことになるでしょうし、そのまま就職となれば、東京ということになるでしょう。
パンフレット第2版にて、監督が三葉は刺繍や裁縫が趣味だから、そっち方面に進むと言っていますから、大学も就職先も、復職系になるのかな?
そして、最終的には、映画のラストシーン同様、瀧と正真正銘な意味で初めて出逢うことになり、そのまま恋に落ちるという展開に。

このまま二人がめでたく結ばれてくれれば、それはそれでいうことはないのですが、少し考えてみると、そこには軽視できない問題が。三葉自身は助かったとはいえ、糸守に隕石がおち、500人規模の死者が出たという歴史そのものは変わっていないです。
そして、隕石の落下位置と被害範囲から考えると、どうあがいても、てっしーとさやちんが亡くなることは避けられそうにない。それどころか、四葉や一葉、俊樹まで亡くなっている可能性が高い。
監督からは意外と能天気、瀧からはファンキーと評された三葉ですが、普段は周囲から求められている自分を演じているだけに、その性格の根っこには生真面目な部分が存在していることは疑いようなく、そんな彼女が、友人あるいは家族が不幸な死を迎えた中で、自分だけ幸せになっていいものか苦悶することもまた避けられそうにありません。

瀧の性格からすれば、散々へたれっぷりを見せた後、どうにかプロポーズまで辿りつくことになるでしょうが、前述の事情から考えれば、三葉としては、すんなりと受け入れられるはずもなく。

一方、ここまでの流れとしては、まだ二葉が存命で治療中ということになれば、母親を元気づける意味も含めて、瀧を紹介しているものと思われます。二葉のチートな能力からすれば、娘の運命の人という存在もある程度わかっていたでしょうが、それが本当に現実のものとなったのを確認できたことへの安堵は大きいでしょう。
と同時に、娘の抱えている苦悶にも気づいているはずです。そしてその解決方法も。

さて、ここで、そこまでわかっていながら、なぜ二葉は糸守を救うこうに出なかったという問題が。
一番考えられる理由は、歴史に絶対的な正しさはないということですね。
彗星の分裂とそこからの隕石落下そのものを防ぐ手段がない以上、糸守を救うためには、町民を避難させるしか現実的といえる方法はありません。
しかし、それを本当に現実的なものにするためには、夫と娘を茨の道を歩ませることになるのですから。
夫である俊樹は、最愛の妻を失った哀しみを乗り越えることができず、なかば逆恨みめいた糸守への復讐と妻を救えなかったことへの贖罪のため、残された娘達を捨ててまで、政治の世界に身を投じることになります。
そして娘である三葉も、かなり不条理な方法とはいえ、運命の相手と前倒し同然に出逢い次第に親しくなるにも関わらず、最終的には、その相手の顔も名前も、それどころか実在しているのかどうかすらもわからなくなってしまい、再会を果たすまでの8年半の間、緩やかなしかし絶えることにない苦痛に晒されることなるのですから。
更に、500人の命を救った結果が、予想だにしなかった別の惨劇別の悲劇を生み出す可能性も否定できません。少なくとも、二葉一人の考えで決断できるものではないと考えるべきでしょう。

しかし、三葉が瀧を紹介したことで、新たな選択と決断のタイミングが訪れます。
娘の苦悶に二葉が気づいていることはいうまでもありませんが、おそらく、プロポーズまでの過程で瀧もまた彼女の苦痛に何らかの形で気づいていることでしょう。そして彼の性格からすれば、それを無視し押し切ってまで彼女と結ばれようとするはずもありません。そして、できることなら、彼女をその苦痛から解き放ってあげたいと考えるはずです。
そんな二人に対して、もし二葉から、糸守を救う手段がある。歴史を変える方法があると提案があったとしたら?
二葉の持つ、未来が分かる。目的に対してそれを達成できるための計画や行動が分かる。能力は、瀧と三葉が三年の時間を越えた入れ替わり、あるいは番外小説の中で四葉が過去の宮水の人間と入れ替わった。ことと同系列なものと考えられます。ただし、彼女の場合、入れ替わらなくても、別の時間のことが分かるようですが。
異なる時間の誰か別人とコンタクトできるということは、何年か後、あるいは何年か前の自分自身とコンタクトすることも可能なはずです。そして過去の自分に糸守を救う段取りを説明することができたとしたら?

糸守を救うための手段において、瀧と三葉が極めて重要な役割を担うことはもはやいうまでもありませんが、それは同時に二人に過酷な運命もまた背負わせることに他なりません。
二葉は、それらを全部ひっくるめて、糸守を救う手段と可能性を二人に示したのではないのでしょうか?
人魚姫が人間の脚を得ることの代償として、声を失い、また歩くたびに刃物で切りつけられるかのような激痛を味わうことになったようにそれはおいそれと受け入れられるものではないと。
糸守を救う方法はありますよ。けど、そのために、貴方達二人は本来とは異なる状況で極めて不条理な出会いをすることになり、糸守を救った後、再び出会えるその時まで、真綿で首を締められるような辛い時間を過ごさなければならなくなる。と

ここにきて、今回の考察のきっかっけだった、「なぜ入れ替わりの相手が瀧だったか?」という疑問の着陸地点が見えてきた気がします。
入れ替わりの対象となる相手が瀧以外にはいなかったことも大きな要因なのでしょうが、瀧自身がそれを望んだ。それを受け入れた。と考えると、辻褄があうというか、腑に落ちる点が多く見られます。
「弱いくせに喧嘩っ早い」と奥寺に酷評された瀧ですが、これは若さゆえの血気盛んさでもある一方で、彼の中での、筋が通らない、道理に反することに黙っていられないという正義感めいた性格も表しています。故に、いきなり入れ替わりも起こらなくなり連絡もとれなくなった三葉の身を案じて(皮肉にもこの時点で既に彼女はこの世の人はなくなっていますが。)わざわざ岐阜、それも具体的な場所も分からない、その町まで行こうとしたのですから。
そんな瀧であれば、最愛の人である三葉の苦悩を取り払い、同時に犠牲となった500人を救えるかもしれないその手段を(多少は迷いはするでしょうが)選択することは間違いないでしょう。三葉にとっても、糸守の人々、特にその中に幼馴染が含まれているとなればもはや否応はないでしょう。

かくして歴史は変わり始めます。

2007年、敢えて専門病院に移ることを拒み、二葉が亡くなったことがきっかけとなり、俊樹は政治の道に進み、二年後には町長選に出馬し当選。これにより、2013年10月4日に、町民を半ば強制的に避難させるための方法が整いました。
そして更に四年後、おそらくは宮水の血筋と土地神であるむすびの力によって、瀧と三葉の入れ替わりが発生、その中で二人は(予め決められていた部分もあれど)互いに相手を憎からず思うようになり、最終的には、その思いこそが糸守を救うことになるわけです。

そして、あまりにも理不尽すぎる別れへと。

作品の重要なモチーフの1つが、夢の中で出会った想い人は夢から覚めたらそこで別れてしまう。である以上、糸守を救うという夢が覚めたところで、二人はまた離れ離れになることは避けられないのでしょうが、だとしても哀しいことには変わりはありません。

最後の最後でどうにかハッピーエンド。というか、そのためへの一歩がどうにか踏み出せたかな?という終わり方を観ることができたので、まだ安堵できましたが、あそこまでの引っ張り方だと、最後の最後、瀧あるいは三葉がどうしても声をかけることができなかった。いつの日かまた出会えるその時をただじっと待ちながら、またすれ違い離れていく二人。「おれの」「あたしの」「探し求めている君の名は。」という終わり方もできただけに、もしそうなっていたら、こんな考察も書いていなかったでしょうが。

「なぜ入れ替わる相手が瀧だったのか?」という疑問から始まった最初の考察もようやくというかどうにか決着がついたので、次回は、もう少し断片的な疑問などに触れていきたいと思います。

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