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zoom RSS 君の名は。への徒然考察第4回 切り札はかたわれ時

<<   作成日時 : 2016/12/30 20:07  

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意味不明な番外編から、どうにか軌道修正して、考察本編に戻ってきました。

「かたわれ時だ」

物語のクライマックス、見せ場の中でも特に重要なものの1つ、入れ替わっていた瀧と三葉が本来の身体に戻り、そして時間を越えて本当の意味で出逢うことができる唯一といっていいこのシーン。
ラストの二人の再会とは別の意味で、「ああ、よかった。」と思った観客は少なくないはずです。

そんな名シーンの直前の呟かれるこの言葉。

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少し、距離をおいて、この言葉を吟味してみると、色々複雑なものが見えてきます。
一番の問題点は、万葉言葉の流れをくむ、糸守地方独特のこの言葉を、東京育ちである瀧が無意識に使っていることですね。三葉と入れ替わっている時にしか糸守にいることができない瀧が、その言葉だけを特に思い出そうとか意識せずに、ポロッと口に出せるということには色々と無理がありそうです。
作中、瀧がこの言葉をはっきりとこの言葉を耳にした確認できるのは、口噛み酒の奉納の帰り、夕焼け空をみた四葉が、何気なく口にしたその時だけです。
もちろん、糸守の住人なら、かなりの人間がこの言葉を知っていても不思議ではないのですが、入れ替わっている際の糸守での記憶の大半、特に個人名や地名といった固有名詞のうち、かなりを忘れてしまっている瀧が「かたわれ時」という標準語としては聞き慣れていないその単語を、意識せずに口にしたということには何か意味がありそうです。
本来ならば、「日が沈む」であったり「日没」だったり、そうでなければ「黄昏時」ともう少し一般的な単語を使って然りのはずですからね。

さて、このかたわれ時ですが、作中冒頭、三葉が高校で受けている古典の授業の中でしっかりと伏線が貼られています。
日没直前の夕暮れ時、夕闇時、夕焼けの時間、昼と夜の境目の時間帯、昼でもなければ夜でもない刻限。光と生者の時間である昼から、闇と死者の時間である夜に切り替わる、その狭間故に人はそこになにか良くないもの、自分達に理解できない何かがあると想像してしまう、というのは日本だけではなく、英語圏などでも、トワイライトゾーンといった形で表現されていますね。
一般的な「黄昏時」から、そこにいるのが誰なのか何者か分からないということへの「誰そ彼時」、そして万葉言葉から引きずる意味での「かたわれ時。」
さて、「黄昏時」=「かたわれ時」とみた場合、かたわれ時とは、昼でも夜でもない時間帯であり、昼でもない時間にして夜でもない時間、つまり、特定の何時でもない時間、あるいは昼にも夜にも分類されないどちらの時間にも属さない時間、むしろ時間そのものが存在しない状態と解釈することができます。

もちろん、時間というものは、昼とか夜とかという二極化で説明できるものでもないのですが、一方で言霊という概念があります。
人がそう思い、そして口にだすと、それが現実に影響を与えるという、迷信の意味も含めての概念ですね。
かたわれ時が昼でも夜でもない時間帯、と人がそう思いそして口に出した時、昼でも夜でもない時間帯という考え方が現実になったとしたら。

もちろん、思っただけで時間そのものがなくなる。あるいは変質することには無理があります。しかし、ここでムスビという存在が加わわれば話はもう少し現実味を帯びてきます。
作中、口噛み酒奉納のためご神体に向かう途中で、ご神体であるムスビとは時間でもあり、無数の糸が集まることで、その糸や編み方が戻ったり、途切れたり、また繋がったりという表現を用いています。これはムスビという存在は制限こそあるかもしれませんが、時間をある程度操作できる。過去に戻ったり、あるいは時間を途切らせる、その後また繋いで続けさせる。ことを意味していますね。
つまり、かたわれ時の言霊に、ムスビの力が反応することで、文字通り、昼でも夜でもない時間帯、時間の概念そのものが欠落した時間ではなくなってしまった時間、何時でもない時間、本来なら三年の時間差故にあうことができない二人が実際に出逢いそして触れ合うことができる。そのような状況が生み出されたものと考えられます。
またこの特殊な状況は、本来ならば一晩眠らなければ解除されないはずの二人の入れ替わりが一瞬のうちに解除され、本来の身体に戻ったことへの説明にもなります。

あの時、二人が置かれた状況は、かたわれ時とムスビの力によって、時間が存在しない状況でした。つまり「三年」という時間を越えた入れ替わりに対して、時間がない状況とで矛盾が生じてしまうことになります。この矛盾を解消するため、入れ替わりそのものが解除されたと考えることができるわけです。

実際、かたわれ時の言霊とムスビの力を持ってしても、この何時でもない時間という状況を作り出すのはかなり困難だったと思われます。故に、発動のためには、ご神体そばのクレーターに二人が揃うこと、更には、口噛み酒によって入れ替わっている二人の存在もまた必要だったものと思われます。
そして、かたわれ時という刻限に起こった重要な出来事はこれだけではありません。

まずは、先にも述べた口噛み酒奉納の帰り道、ここで、一葉の口から放たれた「三葉、お前夢をみておるな。」の一言で、本来なら必要とされる一晩の眠りを飛び越して、瀧は本来の自分の身体で目を覚まします。
これは一葉にとっては半ば無意識のものだったのでしょうが、結果的に三葉になっていた瀧に自分が夢をみている。と意識させることになりました。つまりこれが夢であることに気づいた瞬間、夢が覚めるというやつです。
そして、ここには当然ムスビが干渉しています。一葉が口を開く直前に、四葉の口から「彗星がみえる。」という言葉が発せられますが、続いた一葉の言葉から瀧はそのまま元の身体に戻ることになり、その彗星をみることはありませんでした。
入れ替わっている間のことは、本来の身体に戻ると少しずつ忘れていってしまう。思い出せなくなってしまうわけですが、一方で糸守探索の数少ない手がかりとなった瀧のスケッチから分かるように、個人名や地名は忘れてしまっても、象徴的抽象的、印象的な光景などは、やや曖昧ながらも覚えている。あるいは何かのはずみ(写真展とか)で思い出せるようです。
となれば、もし、この時、瀧がこの彗星をみていれば、その記憶が元の身体に戻った後にも残る、あるいは思い出す可能性は高く、糸守探索の過程で「彗星が見えた」ことも需要な手がかりになるはずですが、これは同時に、日本国内で彗星が肉眼で視える期間の短さと少なさから、三葉達の時間が、瀧の時間の三年あるいはそれ以上前でかもしれないことに気づく可能性も含んでいます。
そしてどうやらムスビは、実際に飛騨の方にいくまで、瀧に、三葉の時間が三年前であることを気づかれたくなかったようです。

1回目の鑑賞の後、瀧がもっと早く入れ替わっていたのが三年前の世界であることに気づいていれば、隕石落下当日になるよりずっと前に、なんらかの行動にでることもできたはずとか考えたのですが、ムスビにはムスビの計画と段取りがあったようで、逆にそれを邪魔されたくないがゆえに、瀧がそのことに気づくことがないよう、あの手この手を使っていたものと思われます。(西暦○年とか平成○年を意識するような日には入れ替わりを発生させないとか)
だから、口噛み酒奉納の帰り、三年前ということに気づかれる可能性が高い彗星を見られるのはマズイ。ということで、慌てて入れ替わりキャンセルをかけたのでしょう。
帰り道ですから、場所はまだ辛うじて、ご神体のある龍神山。一葉の言霊の力と瀧が夢を意識したことも手伝って、やや強引ながらもキャンセルには成功。瀧は肝心の彗星をみることもなく際どいところで彗星の存在そのものも忘れてしまったわけです。

そしてもう1つは、この翌日に起こった瀧と奥寺とのデート…に触発されて東京まで遠征した三葉の一件です。
この時はまだ三葉は瀧と自分とに三年の時間差があることを知らず、瀧にいたっては、まだ入れ替わりを体験していないので、三葉の存在すらしりません。
そんな二人が偶然…ではないでしょうね。糸守から遠く離れた地とはいえ、三葉は宮水の血筋の人間にして巫女だけに、ムスビと強い結びがあると考えるべきで、極めて計画的に、夕方…つまりかたわれ時に瀧と出会うよう、操っていたと考えるべきでしょう。
しかし、ここではまだ瀧は三葉を知るはずもなく、この作品のお約束の1つである男女の恋愛のじれったさにやきもきさせられることになりますが、別れの際の行動にもまたムスビの干渉が伺えますね。
別れ際に三葉は自分の髪を結う際に愛用していた組紐を急ぎ解いで瀧に手渡します。パンフレット第2版にあった監督の言葉がそのままなら、文字通りこれは赤い糸になるわけですが、どうやら他にも色々ありそうで、瀧に組紐が渡されることは、ムスビにとって糸守の歴史改変のためのフラグや段取りの1つのようです。
なんか勇気を振り絞っての告白から速攻で振られたような状況下で、愛用している組紐を渡すというのは、なんか無理があるような気もしますし、ここはムスビが三葉を操っていたのではないかと。

そして組紐を受け取った瀧。
学校の帰りの電車の中で、いきなり知らない異性から声をかけられても、その時は困惑するのは当然ですが、それ故にまた、その時のことを忘れてしまう。というのは明らかに不自然ですね。
しかも、その時の記憶を呼び覚ますきっかになりそうな組紐を受け取っており、なにかある時にはお守りみたいなものとして、身につけている。
にも関わらず、組紐を貰ったというイベントそのものは覚えているのに、誰からもらったかは覚えていない。
その上、三葉と入れ替わっている時にも、家業として組紐作りを手伝わされているし、髪をポニーテールにする際に、髪ゴムやシュシュを探す過程で、愛用の組紐=瀧が貰った組紐。に気づかないというのも無理がある。
つまり、瀧は入れ替わりが起こる三年前、まだ中学生の時、三葉と出会い組紐を受け取ったときから、ムスビからなんらかの干渉を受けていたということになります。そして組紐はそのための受信機とか中継器とかそういうものなんでしょう。瀧は直接は宮水や糸守と関係ありませんから。(名前は水の龍ですが、)
糸守探索の際、ラーメン屋で、「糸守」という単語に、同行したいた二人がすぐ隕石災害に気づいたのに対して、瀧だけが反応が遅れたのも、この影響でしょうね。
この後、糸守に近づいたせいでムスビの影響力が強まったせいか、三葉の名前までも忘れていってしまい、あの入れ替わり全てが夢か自分の妄想だったのではと考えはじめる始末。
他にも、落ち着いて考え直したり、あるいは視点を変えたりすれば、ムスビがかたわれ時を利用して、主に時間にかかわる干渉をしたのでは?と思わせるシーンがいくつかありますね。

そして、おそらく、このかたわれ時の出来事は、物語の上でのクライマックスであると同時に、糸守を救うための歴史改変の分岐点となっていると思われます。
つまり9月2日からはじめり10月2日まで続いた入れ替わりは、2013年10月4日(瀧の方、2016年の方はどうも正確な日付がつかめないので)に起こったこの出来事を間違いなく発生させるための、段取りと前フリだと考えられます。
公平に見た場合、500人の命の価値がどの程度なのかは、人間の立場から考えるのは難しいですが、それでも、少なからず死者がでたことと、奇跡的に死者がでなかったとでは歴史が大きく変わります。変わりすぎます。
そこまで歴史を変えるとしてはやはり小手先の作業では無理があり、かたわれ時、本来の時間の枠組みから開放された状況下での起こった何かが、歴史を変えるには必須。と考えるべきかもしれません。

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最後に、余談というか余計なことではありますが、このかたわれ時下では、少なくとも、過去側に物資を送ることが可能なんですよね。

1つ目は、瀧から三葉へと返された組紐。って、ちょい待て。ということはこの組紐、三年の時間逆行している上、中学生の瀧が同じものを持っているので、同じ時間帯に同じものが2つ存在していることになり、物理学者垂涎の一品になってます。もっとも、そのことに誰も気づいていないし、気づけそうな人はそのことを忘れていますし。

そして2つ目は、三葉の手のひらに書かれた「好きだ」の文字、書く時に使ったペンは瀧のものですから、当然インクは2016年のもの。組紐と比べると、圧倒的に分量は少ないですが、やはり時間逆行したことは間違いありません。

惜しいのが、三葉が、瀧の手に名前を書こうとした時のペン。
三葉が消えて(本来の時間に戻った)しまったので、瀧の方に取り残されてしまいました。三葉が持っていたのに、なぜ瀧側に?と思いましたが、よく考えてみたら、手のひらにペン先が触れているんですよね。瀧と三葉、二つの時代に引っ張られた結果、本来の時代側がやや力が強いので、そちら側に戻ったと考えれば納得ができます。

後、三葉が名前を書こうとした瞬間、二人は別れてしまい、ありゃ時間切れか、余裕ぶっこいてないで、さっさと名前書くなり、メモを手渡すなりすればよかったのに。と当初は思ってましたが、どうやら、時間切れというより、この後記憶を消されることになる二人が何かのはずみで思い出すことがないように、名前とか手がかりになるものの受け渡しそのものを妨害された結果であることが、パンフ第2版で語られてます。(瀧が、好きだではなく、名前を書いていたら、その時点で二人が別れていたか、文字が消えていた。)組紐も三葉に返しちゃってますしね。

次回は、前宣伝では作品の目玉ににして中心、しかし実際には少年少女の恋物語に対する添え物。しかし、要所要所にねっとり絡みついて、美味しいところにしっかりと居座っている、瀧と三葉の入れ替わりのついて書く予定です。

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